塗装の種類/自然塗料

塗装の基礎知識

自然塗料

自然塗料とは、どういうものかご存じですか?自然塗料は、化学技術の多用化による、シックハウス症候群、化学物質過敏症など、室内環境の意識の高まりから見直されてきた塗料です。シックハウス症候群という問題はご存じでしょうか。一部の住宅には、揮発性有機化合物を含むもの(塗料など)があり、そこに様々な要因が関係して(住宅の高気密化など)頭痛や目眩、吐き気などを引き起こします。この症候群が問題となる中、室内環境対策として国連主導の元、GHS(化学物質安全利用を促進する基準)が日本でも平成20年度より完全実施されることになりました。このことにより、化学物質は「危険性」及び「安全性」に応じて分類され表示されるようになり、それらを扱う人に正確に情報を伝えることができ、人の安全と、健康を守ることができるようになります。その結果、塗料の分野においても環境対応型が登場していて、消費者の注目を集めています。

日本における自然塗料

日本でも過去には柿渋や漆といったような自然塗料が使用されてきた時代はありましたが、「高耐久、短工期、低価格」といったニーズと石油化学技術に発展により、一時はほとんど見られなくなりました。

ドイツにおける自然系塗料

自然塗料の先進国ドイツでは、自然塗料と自然系塗料の違いは明確に分類され、無公害塗料、健康塗料といった曖昧な塗料の名称は全くなく「合成塗料」「自然塗料」「自然系(偽塗料)」「エコロジー塗料」の4つに分類されています。芳香族の溶剤や脂肪族炭化水素系溶剤は石油製油物であるため配合量がいくら少なくて低溶剤水性化してもエコロジカルな塗料といえません。ドイツではテレピン油、バルサムテレピン油、柑橘系が含んだ塗料は自然塗料とはいいません。しかし、脂肪族炭化水素の溶剤イソパラフィン(別名:イソアリファーテ、イソアルカン)はにおいのない石油化学の産物で、低価格のため自然塗料の溶剤に汎用され、少量のバルサムテレピン油柑橘油を添加して自然塗料と称して販売されています。

ドイツでの自然塗料の「自然」という概念

現在日本で普及している自然塗料はドイツから輸入されているものが多く、ドイツでの自然塗料の「自然」という概念は、単に溶剤塗料の水性化やVOC(揮発性有機化合物)が少ないといった点に留まらず、塗料の原料調達から生産、製品使用から廃棄に至るまでのライフサイクルのすべての段階で、環境に負荷を与えないための評価手法「LCA(ライフサイクルアセスメント)」が厳格に用いられています。

LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?

製品の原料調達、生産から消費、そして廃棄に至るすべての段階において、その製品が環境へ与える負荷を総合的に評価する手法のこと。 製品の使用や廃棄に伴う有害物質の排出の有無、処理やリサイクルの容易性など、ある特定のプロセスだけにとどまらず、原料採取、製造、流通などの段階での環境への負荷も評価範囲に含まれます。

自然塗料の分類

ここで、代表的な塗料を原料ごとに分類してみます。

合成塗料
塗料の成分に石油系化合物を含むものです。
自然系塗料
この自然系塗料に使用されている溶剤は、法的拘束力のない「イソパラフィン」を主たる溶剤とし、使用しているメーカーでは「自然塗料」として販売しているのが実態です。
自然塗料
塗料成分が石油系成分ではなく再生可能で危険性のない、天然原料を100%使用し住居社に健康障害を与えない、土に捨てても環境に何ら悪影響を及ぼさない塗料のことです。しかし、植物由来のテレピン油・パルサムテレピン油・柑橘油を溶剤として使用しているため、発揮性有害物質であることには変わりません。
柿心シリーズ(植物水溶性塗料)
純植物油、植物ロウ及び還元性電解アルカリイオン水を配合し状態制御誘導効果を発揮する機能がその配合成分を木部の内部まで浸透、馴染ませることと共に他の自然塗料に類を見ない乾き性・消臭性・防微性・防腐性に優れた世界初の植物水性塗料です。通常、塗料や内装材、建材で、「ホルムアルデビドの放散量の性能区分」を示す為、JIS製品にFと星の数により危険度を表示することが義務づけられていますが、この柿心シリーズは発揮性有害物質を含まないため、表示義務すらありません。

ドイツ生まれの自然塗料

ドイツでは環境問題の意識の高さで有名ですよね。自然系塗料は特に木材を保護する塗料に多く、日本でも欧米に追従するような形で開発されてきましたが、ドイツでは環境に対する意識の高さから、30社程ものメーカーがあります。 日本でも室内環境の高まりの中、特に肌の触れる機会の多い内装のフローリングや木製建具等に徐々に普及してきました。「100%天然成分」を使用している自然塗料なのか、「天然成分が主成分」の「自然系塗料」なのか審議される程で、「エコテスト」や「エコハウス」という月刊誌において環境に優しいランク付けまで行われています。ここで日本で輸入されている自然系塗料をメーカー別にまとめてみました。

【Aglaia】 アグライア
1894年に創業されたベーク社により1969年から製造された歴史ある塗料。自然系塗料の中では唯一造膜系の塗料で、ドイツの「エコテストマガジン」でもトップクラスの評価となっています。造膜系であっても木の調湿機能を完全に抑える事はせず、耐水性が強く、仕上り的には肉持ち感、艶に優れます。ただし塗装するにはそれなりの技術が必要になり、メンテナンスを簡単にお施主様ご自身で行うと言う訳にはいかず、プロ向けの塗料といえます。
【OSMO】 オスモ
ドイツから輸入されている自然系塗料の中では最も普及している塗料でしょう。もとは材木屋であったため木の性質をよく知り、木材に合う塗料を模索したところにオスモカラーが生まれました。他の自然系塗料が亜麻仁油を主成分にしている製品が多いのに対し、ヒマワリ油を主成分にすることにより黄変しにくい仕上になる。内部用、外部用ともに部位別品揃えが豊富で、日本で普及している自然系塗料の中ではもっとも施工実績があり、耐候性に強い事も証明されています。
【Livos】 リボス
1972年に人間と自然との調和を唱ったルドルフ.シュタイナーの哲学に基づき、女性博士により開発されたのがこの塗料の起源です。亜麻仁油を主成分とした塗料で、アロマテラピーの観点から成分にオリーブオイルやラベンダーオイル、ローズマリーオイル等の芳香油が使用されているのが特徴です。「エコテストマガジン」でも常に上位ランクに位置している自然塗料です。
【Auro】 アウロ
LIVOS にいた社員が独立し立ち上げた会社である事から、成分及び製品体系はリボス社と良く似ています。ライフサイクルアセスメントの手法に基づき100%天然原料を使用し、また成分の内容をすべて公開しています。「エコテストマガジン」でも常に上位ランクに位置している自然塗料です。
【Kreidezit】 クライデツァイト
日本に輸入されるようになったのは比較的最近ではありますが、ドイツでは下記の「アグライア」と共にトップクラスの評価を得ています。天然成分100%であるとともに油脂や顔料の粒子が細かく、木材に深く浸透し耐久性も強い塗料です。クライデツァイト自体は色数が少ないですが、日本の輸入代理店であるプラネット社が独自に顔料を輸入し、ドイツとの共同開発で「プラネットカラー」として日本で上市されました。自然塗料の中でも油脂と顔料の濃度が濃く、1回塗りでも仕上りが良いのが特徴です。

今後の自然系塗料の方向性

今までは、植物由来のテレピン油・パルサムテレピン油・柑橘油を溶剤として使用していましたが、発揮性有害物質であることには変わりません。今後は、無溶剤の塗料やワックス製品が中心になると思われます。